2015年11月1日

Steely Dan / Aja (1977)

やっと長旅からAORに帰って来ました。
ということで今日はド直球の大傑作を。僕がいつでも一番好きと断言できるバンド、スティーリー・ダンの1977年発表6枚目のアルバム『Aja』。
オールタイムベストアルバムに挙げる人も多いんじゃないでしょうか。

僕は、中学・高校時代にこのアルバム全曲のカラオケトラックをMIDIで耳コピをして作る、という病的な作業をしていました。なので腐るほど聴き込んでいます(笑)
おかげさまで耳が鍛えられました。一度やってみることをオススメします。廃人になれますヨ。

アルバムについての解説は、ネット上でも、どのAOR本にも腐るほど載っているはずなので、僕が曲ごとに感じていること、気づいたこと、余談とクレジットなんかをメモ的に書いておきますね。

動画を貼ろうと思ったら、スティーリー・ダンの公式音源はYoutubeから全部消されちゃってました!
なんてこった!
なので棚から引っ張り出してくるか、持っていない人は買ってから読んでください。。。



1.「Black Cow」

確かAjaかナイトフライの本の解説で冨田恵一さんも指摘していたと思うのですが、

・センターから聴こえるボーカルのリヴァーブ成分だけは何故か右側からだけ聴こえる
・右側から聴こえるクラヴィネットのリヴァーブ成分だけはなぜか左側からだけ聴こえる

という不思議なことになっています。ヘッドフォンで注意深く聴いてみるとよく分かると思います。試してみてください。
どういう狙いかは分からないけど、これに気づくと曲の不気味な感じを助長しているようにも感じられます。ヘッドフォンの環境だと音がグルグル回っているような感じ。

ちなみに僕はこの曲をiPodで聴いていて、たまたま左側のイヤホンが外れてしまった時に、急にボーカルのリヴァーブが強くなったように感じたことで、このトリックに気付きました。

この手法はベッカー/フェイゲンやエンジニアの発案なのか、またはどこかの他人の作品からとってきたアイデアなのか、ということがずっと気になっていたのですが、、、

これまた偶然、Stevie Wonderの「Too High」を聴いていて、ボーカルのリヴァーブ成分が左側に偏っていることに気づきました。もしかして、これが元ネタかな?



「Too High」が収録されている『Innervisions』は1973年作なので、スティーリー・ダンの2人がこの作品を愛聴し、リヴァーブのトリックに気付いていて、ふと「Aja」制作中にこの手法を使ってみようと思い立った、、、というのは完全な妄想ですが、可能性はゼロではないかな?

他にボーカルのリヴァーブの定位が意図的に歪められている曲を知っている方がいたら、是非教えて欲しいです。できれば1977年以前の作品で。


Black Cow

Drums: Paul Humphrey
Bass: Chuck Rainey
Electric Piano: Victor Feldman
Clavinet: Joe Sample
Guitar: Larry Carlton
Synthesizer: Donald Fagen
Tenor Sax: Tom Scott
Backup Vocals: Clydie King, Venetta Fields, Sherlie Matthews, Rebecca Louis.




2.「Aja」

タイトル曲。
組曲チックな構成、スティーヴ・ガットとウェイン・ショーターの爆発的なソロ。。。
これをはじめて聴いた中学生の僕は開いた口が塞がらなかったです。

ガッドのドラムソロはこのアルバムでは必ずと言っていいほど語られますが、個人的にはアウトロのライドシンバルを使ったリズムパターンの方が難しいと思います。

Ajaという名前はフェイゲンの知人の妻の韓国人女性のことだったかな。
アルバムジャケットのモデルは故・山口小夜子さん。
歌詞に出てくる「チャイニーズ・ミュージック」や「Angular Banjoes(→二胡のことかな?)」。。。

日中韓をごちゃ混ぜにしたアメリカ人特有の「オリエンタリズム」的な感じ、ありますよね。
ベッカー/フェイゲンのアジアに対する知識の浅さ故なのか、それとも彼らお得意の皮肉なのか。。。
そもそもAja(エイジャ)とAsia(アジア)をかけているのか?
、、、なんて考えていると、僕にはこれらが全部ベッカー/フェイゲンによって意図的に計算されたモノなんじゃないかと思えてきます。

曲の中盤に出てくる民族的なインストパートは、昔作ったボツ曲のデモから持ってきたとか、そんな話を聞いたことがあるような無いような。


Aja

Drums: Steve Gadd
Bass: Chuck Rainey
Guitars: Larry Carlton, Walter Becker, Denny Dias
Electric Piano: Joe Sample
Piano: Michael Omartian
Percussion: Victor Feldman
Synthesizers & Police Whistle: Donald Fagen
Tenor Sax: Wayne Shorter
Backing Vocals: Donald Fagen, Tim Schmit.




3.「Deacon Blues」

昔は『Aja』の中で一番聴いていない曲だった記憶があります。当時はわりと起伏の少ない曲調で7分半もあるのが退屈だったのかな?
今は真逆で、この気怠い感じを楽しめるようになって、Black Cowからの最初の3曲をいちばん聴いているような気がします。
歌詞も自暴自棄な感じがたまらないです。

Aメロの出だしが
G7(13)→F7(13)→G/A→F7(13)
で始まる曲なんて、他にあるんでしょうか?(笑)
一瞬キーがわからなくなります。

この曲はウォルターがベースを弾いていますが、他の曲は全部チャック・レイニー。
つまり外部から呼んだベーシストはチャックだけ。
これだけ色んなミュージシャンを取っ替え引っ換え使っている中なので、チャックへの信頼度の高さが窺えますね〜


Deacon Blues

Drums: Bernard Purdie
Bass: Walter Becker
Guitars: Larry Carlton, Lee Ritenour
Electric Piano: Victor Feldman
Synthesizer: Donald Fagen
Tenor Sax: Pete Christlieb
Backup Vocals: Clydie King, Sherlie Matthews, Venetta Fields.




4.「Peg」

いちばん知名度の高い曲、かな?

ラリー・カールトンはこの曲にインスパイアされて「Room 335」を作ったそうですね。
たしかに、バッキングのリズムパターンと「Ⅳ△7→Ⅰadd9/III」のコード進行はモロ一緒です。


チャック・レイニーがこの曲を勝手にスラップで弾いたエピソードも有名ですね。
指で弾く指示だったけど、チャックは絶対にこの曲にはスラップが合うと思って、壁の方を向いて弾いている手が見えないようにして、隠れてスラップをやり通したとか(笑)

リック・マロッタのこの繊細なハイハットワーク、一度実際にやってみると分かるのですが、とんでもなく難しいです。
それっぽいリズムは叩けてもこのグルーヴはこの人にしか出せないと思います。だからわざわざこの人を呼んで叩いてもらってるはずですし。

ジェイ・グレイドンの採用されたギターソロ以外にも著名ギタリストが何人もこの曲のソロに挑んでボツになっているのは有名な話ですが、そのボツテイクのいくつかがAjaのメイキング動画でちょろっと聴けて面白いです。
マイケル・マクドナルドのバッキングボーカルの積み方も分かって、こちらも興味深し!
さっきのチャックのスラップ話も出てきます。

ということで、日本語字幕付きのAjaのメイキングDVD、おすすめです。
Youtubeに上がったりしますがスティーリーダン関連はすぐ消されちゃいます。


Peg

Drums: Rick Marotta
Bass: Chuck Rainey
Electric Piano: Paul Griffin
Clavinet: Don Grolnick
Guitar: Steve Khan
Solo Guitar: Jay Graydon
Percussion: Victor Feldman, Gary Coleman
Lyricon: Tom Scott
Backup Vocals: Michael McDonald, Paul Griffin.




5.「Home At Last」

バーナード・パーディお得意の「パーディ・シャッフル」の教科書的な曲。
これを練習するなら「Home At Last」と次作『Gaucho』収録の「Babylon Sisters」を聴きまくりましょう(笑)
ハイハットの開け閉めやゴーストノートの微妙なタイミングの揺らぎが心地良すぎます。

カールトンのバッキングギターも地味に素晴らしい仕事をしてますよね。さすがスティーリー・ダン一番のお抱えギタリスト。
ウォルター・ベッカーのギターソロも個人的に大好きです。
このヘタウマ感がクセになると抜け出せなくなります。


Home At Last

Drums: Bernard Purdie
Bass: Chuck Rainey
Guitar: Larry Carlton
Solo Guitar: Walter Becker
Piano and Vibes: Victor Feldman
Synthesizer: Donald Fagen
Backup Vocals: Donald Fagen, Tim Schmit.




6.「I Got the News」

ヴィクター・フェルドマンのピアノプレイが変態です。

中盤に出てくるマイケル・マクドナルドのコーラスパートがかっこよすぎて、そこばっかりよく聴きました。

ドラムのエド・グリーンが「ドンタタドン」というフィルしかやらないのが、また良いw
曲中で何十回やってんだ(笑)


I Got the News

Drums: Ed Greene
Bass: Chuck Rainey
Piano, Vibes, and Percussion: Victor Feldman
Guitar: Dean Parks
Solo Guitars: Walter Becker, Larry Carlton
Synthesizers: Donald Fagen
Backup Vocals: Michael McDonald, Clydie King, Venetta Fields, Sherlie Matthews, Rebecca Louis.




7.「Josie」

この曲のイントロを採譜したことある人、地味〜に多いんじゃないかと思います。
最初聴いた時けっこうカルチャーショックだったのを思い出しました。

クレジットを見て、「この曲パーカッションなんて入ってたっけ?」と思ったら、ギターソロの前でジム・ケルトナーがゴミ箱の底を叩いている音でした。

ラリー・カールトンが『Solid Ground』というアルバムでこの曲のインストカバーをやってます。
こっちもかっこいいです。

この曲(原曲のほう)のギターとベースの絡み方がすごくカッコイイです。
フレーズはウォルター・ベッカーとチャック・レイニーが一緒に考えたんだとか。
フェイゲンばかりではなく、ウォルター・ベッカーの才能にも注目すると面白いですヨ。
彼のソロアルバムを聴けば、スティーリー・ダンにベッカーが不可欠だということがよくわかります。

じゃないと、この人拗ねちゃいますよ。(笑)
こんな風に。





Josie

Drums: Jim Keltner
Bass: Chuck Rainey
Electric Piano: Victor Feldman
Guitars: Larry Carlton, Dean Parks
Solo Guitar: Walter Becker
Synthesizers: Donald Fagen
Percussion: Jim Keltner
Backup Vocals: Donald Fagen, Tim Schmit.




そんなに記事を書く準備をしていなかったので書くことがあんまりなかったのですが、書き忘れたことを思い出したり、新たに感じたことがあったらここに書き足すか、また記事書くつもりです。

僕と同世代の人も、みんなが聴くアルバムであってほしいと思うので、いつもオススメを教えてと言われると、これを聞いたことのない人にはいつも『Aja』をすすめるようにしてます。
めげずに頑張ります。


ではでは。



0 件のコメント:

コメントを投稿